迷惑がられるカラス。自宅前のごみ置き場でもたまに悪さをしています。黒いのが不吉だとか言われて、学生も一様に嫌っています。当たり前のように蔑まれて、どこかかわいそう。でも見ると、私にはかわいいと思えます(いつもではないですが)。賢いし、行動が-ひとつひとつの動きも-おもしろいし、かと思うと時折一羽で孤独に佇んで、ぼうっとしていたり(しているように見える)、あるいは何かをついばんでいたりして、見ていてあまり飽きない感じのヤツです。味方しすぎ?

 …なんてことが頭の片隅にあったせいで/おかげで、学校帰りにいつもの書店でつらつら棚を眺めていたら、カラス関連の文庫本が目に入ってしまいました。速攻で買って、帰りの座席でまずは1章分楽しんだ次第です。

 イラストレーター・真鍋博さんの回顧展が、故郷の松山で開かれているそうです。さすがに行けません。いや、弾丸ツアーなら行けるやもしれませんが…。で、先日、図録を青森の書店の店頭で見つけて、えっ、やってんの?と、ものすごくびっくり。で、行けないならせめてこれで我慢を…ということで、ちょっと値は張りますが、マスト買いしました。没後20年か…21世紀を迎える前に亡くなったのですね。存命だったら、真鍋さんは今の世界をどう描いたでしょうか。

 真鍋さんとは、中学生の時にあの星新一さんの一連の本で初めて出会って以来、ずうっとずうっとお気に入り。ミステリ雑誌、SF雑誌の表紙、イラストをはじめ、いろいろな印刷物を通して楽しんだものです。何冊かの図録、エッセイ集(サイン付き)が手元にあります。その作品は、想像力全開、ウィットに富んでいて、批評精神もあり、何より夢があって、エレガントで洗練されていて…。驚いたのは、70歳前に亡くなっていること。働きすぎかなぁ。安西水丸さんもそんな感じでしたし、フジモトマサルさんはかなりの早逝でした。

 そういえば、先日のイラストレーター・永井さんも「博」でした。

# by 1220hagiwa | 2020-11-06 23:25 | 本 編 2020

 日本語能力試験の模擬試験を校内で実施しました。本番があと1か月後に迫っています。多くの学生にとって是非とも合格証を手にしたい、そんな試験。ですけれど、最高難易度のレベルで見事合格を果たしても、それもかなりの高得点で合格証を手にしても、たとえば漢字からひらがなやカタカナが生まれたことも知らないし、そもそもいつ頃ひらがなができたとか、日本では漢字はもともと男性だけが使っていたとか、日本語に関するそうしたごく基本的な知識をもっていないっていうのは、何なんだろうなぁと思わずにいられません。ほかにも、句読点の使い方を知らないとか、「。」じゃなくて「.」を使ってしまうとか、日本にいくつ言語があるか知らないとか。それで日本語ができると胸を張って言えるのか。違うだろ。それ以前の問題だろ…などと内心つぶやいてしまうわけです。

 もちろん、そもそも「できる」って何、いや「できる」と「知る」は違うよね、ということですけれど、あまりに表面的なものに焦点化、矮小化されていないか。そうした疑念がずうっとあって、私はそれらを補えたらいいなと思って授業をしています。学会等でも発表させてもらうと、小さくても必ず好意的な反応があります。私もやりたいんだと。微々たる成果でしょうけれど、教師がもっとそうした日本語の「常識」に学生が触れる機会を積極的に設定しないといけないのだと思います。

 さて、くっだらない選挙のドタバタ騒ぎはよそに、週のピークを越えて疲れて帰宅したあとは「ルバン」で深キョンのかわいらしさに癒されましょう。あの体形を維持するのはたいへんだろうなと思いつつ。笑ったのは、泥棒家業が品物の「物流」だというセリフ。なるほど、物は言いよう。

# by 1220hagiwa | 2020-11-05 22:27 | 本 編 2019

 街角ピアノ@広島の再放送。ついつい聴き入って、見入ってしまいました。いいなぁ。ピアノを習い始めて間もない40代後半の男性による「赤いスイートピー」の弾き語りなんて、泣けてきます。思い出がいっぱい詰まっているというこの曲、フレーズの一つ一つに思いがこもっているようで、そのハスキーな歌声とともに、忘れがたい印象を残します。彼が続けて弾き語った「心を込めて花束を」byサザン、聴きたくなりました。今度広島・紙屋町の地下街に行ったら、まだピアノがあるか、確かめましょう。いつか私も弾きたいものですが、もう無理かな。

 歌詞の授業で、ミスチルを取り上げました。年々、彼らを知る学生が減っています。やむなし。そもそも私だってあまり知らないのですが、今の学生が知っているのはアニソンかアイドル系(ピンではなく、ヘタウマ以前のレベルで、集団でごまかしながら歌って踊る女の子たち)がせいぜい。連ドラも、その再放送もほぼ見ません。結局、知っている曲は少なくなる一方というわけ。いい悪いではなく、そういう時代です。そうやって、毎年少しずつ、歌詞の授業に困難さを感じるようになっています。楽しいのですが…。

 予想通り、むちゃくちゃな様相を呈している大統領選挙。一歩引いてみると、お笑いです。小学生か。これで、アメリカの標榜する(はずの)民主主義への私たちの一抹の理想が、消えることでしょう。つまり、バカにされても当然ということ。

# by 1220hagiwa | 2020-11-04 22:57 | 本 編 2020

 脳腫瘍で闘病している知人とメールでやり取りしています。ある部分で私と共通する彼の、現在に至る仕事への姿勢は十分にリスペクトに値しますし、彼の存在は当時私が属していたサークルでは不可欠のものでした。目下車いす生活。ウイルス禍が一定の落ち着きを見せたら、ぜひ会いたいものです。がんばってほしい。

 もう始まるのかな、アメリカ大統領選の投票。対岸の火事と傍観しているわけにはいかない、とは過剰反応でしょうか。両候補とも決定打に欠けていて、B氏もイマイチではありますが、T氏ほどひどい(それも有力な)候補はいません。詳細は知りませんが、史上まれに見る低レベルの戦いなのかもしれません。T氏に至っては、ただただどうかしている、人間性の疑われる異常なマインドの持ち主のよう。でも、(たぶん)まっとうな感覚あるいは(私の)常識からすれば、熱狂的いや狂信的に支持することは到底できなさそうなものを、むしろ否定されず、一部知識層や大学生たち(メディアを通す限り、ほぼ白人層に見えますが、不明)から祭り上げられてしまうところに、彼(か)の国の病巣の深さを感じずにはいられません。

 この騒ぎ、中国の学生はどう感じているのでしょう。台湾や香港ではなく、大陸の学生が、です。自分たちの国をどう振り返っているのか、とても興味深いところ。ある部分、映し鏡ではないかとも思います。そして、戦争の授業で沖縄をめぐるあれこれを2回にわたり紹介した時に中国の一部の学生が見せた、どこかピンとこなさそうな顔と通底する気もします。いい悪いではありません。国の教育の影響でしょう。

 それは、目下手にしている、先の大戦に直接関わったアメリカの退役軍人や、アウシュビッツ経験者たちのホスピス病棟での最期の姿を描いた一冊を読むと、私なりに危機感をより強くリアルに感じるからです。彼らの心からの苦しい告白も、ことばから学ぶものははかり知れません。過去の戦争、市民虐殺といった歴史的事実を無視、軽視し、平気でヘイトを容認し、選挙を混乱させ、知性の低さをさらすT氏の言動の数々のエスカレートとその影響は、各国のみならず、日本のその筋の人々にも波及するかもしれません。私はそれを恐れます。であるからこそ、日本語教育がわずかでも果たせるものがあるのではないかと思いますし、T氏が勝とうものなら、日本の留学生受け入れにも何らかの影響があるのではないかとも思います。

# by 1220hagiwa | 2020-11-03 21:08 | 本 編 2020

 中井貴一さんといえば、「サラメシ」のナレーションがぶっ飛んでいておかしいのですが、今般紫綬褒章を受章すると聞きました。そのタイミングでつけたドラマの主演が中井さん。役者だなぁと思わされる方です。その前の時間帯には、久しぶりの時任三郎さん。「ふぞろいの林檎たち」ではないですか。長くこの世界で生き残るお二人、たいしたものです。紫綬褒章といえば、タツロー・まりやのご夫妻もそうでした。

 日本学術会議をめぐる国会の論戦…のはずなのに、SUGAさんのなんと覇気のないことよ。我らが新首相、その答弁の中身のなさと迷走ぶり、弱々しい物腰は、とても一国の宰相と言うには当たらず。これは、息も絶え絶えの、ただのおじいさん。どうしてこんな方が一国の顔なのかと思わずにはいられません。肝心の自民党支持者だって、まっとうな方ならそう感じているのではないでしょうか。そして日本語教育学会、何も反応を示さないようですが、さてこのままでしょうか。どんなに会員数の多さを誇っても、日本語教育の普及と振興、平和への貢献を謳っても、上っ面の文言にすぎないのだと解釈されてもやむなしですし、私も悲しい。そうであれば、ただの泡沫会員の私にすぎませんけど、態度を決めねばならないようです。

 早朝の青森市街地、特に駅周辺、青函連絡船「八甲田丸」の係留地あたりを走り、戦災の事実にも触れ、街と港の変貌ぶりに驚くというより、私にとってまったくの新しい街との認識をもちました。再訪に値すると思います。それに、太宰治、棟方志功はいうまでもなく、あの沢田教一といった印象的な皆さんの出身地ですし、今度再訪するはずの津軽地方をはじめ、魅力の尽きない土地だと心に刻んだしだいです。来春始める、青森駅が起点となる折り返し、その後半の道行が楽しみになりました。

# by 1220hagiwa | 2020-11-02 23:25 | 本 編 2020