シバ犬あっちこっち ~日本語教師のモノローグ~

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カテゴリ:<番外編 2011>( 112 )


2011年 12月 29日

12月29日  石井光太 『遺体』 新潮社

 釜石市の遺体安置所のルポ。無数の遺体、そしてその遺族の方々への使命を果たすべく奔走し、奮闘し、駆け回った人々。不躾な言い方ですが、こういう方々の無私の働きが功を奏し、結果的に釜石市はある部分、幸運な経過をたどった面を持っていたように思いました。実際は、ここ以上に壊滅的だった他の土地がいくつもあったわけで、そこではこの作品ほどに冷静に描こうにも描きようがない、より無惨な事実があったのだろうと想像します。

by 1220hagiwa | 2011-12-29 20:56 | <番外編 2011>
2011年 12月 28日

12月28日  切通理作 『宮崎駿の〈世界〉』 ちくま新書

 ジブリ以前の作品への言及が比較的多いです。申し訳ないのですがそこは飛ばし、必要箇所のみチェック。各作品の内容が詳細に記されているのがお役立ちです。少女や女性、母性といったものからの読み解きも示唆してくれます。

 およそ新書版にはふさわしくないボリュームからは、筆者の思いのたけが詰まっているように感じられました。

by 1220hagiwa | 2011-12-28 18:38 | <番外編 2011>
2011年 12月 27日

12月27日  石田衣良 『夜の桃』 新潮文庫

 エロ小説。H場面てんこ盛り。でも、石田さんが書くから、思いっきりいやらしい中に、嫌みがありません。美しいとさえ言えるかもしれません。

by 1220hagiwa | 2011-12-27 22:52 | <番外編 2011>
2011年 12月 26日

12月26日  内田 樹 『「おじさん」的思考』 角川書店

 歯ごたえ十分。密度の濃い辛口評論文の連続。難解なものもありましたけれど、底に流れるのは、なんだかんだいっても、人への信頼。語り口も、驚くほど丁寧。誠実な思いの発露、指摘もさることながら、姿勢のものすごく優しい方だと思いました。

 巻末に「「大人」になること-漱石の場合」という小論があって、これまた難しい。半分もわかっていないでしょうが、とりあえずわかったつもり。自宅にはまだ2冊、氏の本が用意してあります。

by 1220hagiwa | 2011-12-26 21:37 | <番外編 2011>
2011年 12月 25日

12月25日  米村みゆき編 『ジブリの森へ』 森話社

 蔦屋書店にて購入。併設のタリーズで半分読み、残りは部屋で、とりあえずざっとナナメ読み。実は、「トトロ」「ぽんぽこ」「火垂る」以外はきちんと見ていないくせに授業をやろうっていうのですから、無責任といえば無責任、いい加減といえばいい加減のそしりを免れません。

 この本では、「アニメーションを読む」ことを念頭に置いたとあり、メディアリテラシーとからめた、大学での講義や一般向けのテキストとしての性格も意識したそうです。そうか、「アニメを読む」。いただきます。これを来年度のネタにできたら、きっといいだろうと思います。マンガやアニメといったサブカルチャーを本気で扱おうとしない、ないしは扱おうとする意欲のなかったり、拒絶反応のはなはだしかったりする教師は、おそらくはout of dateだと思います。学生は、求めているのに。それで来日しているのに。そういう姿勢を、(学生の意思を)ないがしろにしている、といいます。

by 1220hagiwa | 2011-12-25 23:57 | <番外編 2011>
2011年 12月 24日

12月24日  入江 杏 『この悲しみの意味を知ることができるなら』 春秋社

 副題「世田谷事件・喪失と再生の物語」。事件発生から数年かけ、ようやく悲しみの意味を把握したというくだりがあります。それを丁寧に説いてくださっているこの一冊には、感性豊かなお人柄がしのばれる文章が束ねられています。

 文中より、驚きの発見。英国滞在中、大学で日本語教師をしていたそうです。そしてまた、絵本の読み聞かせもしていたとのこと。勝手ながら、縁を感じます。ご本人にもお会いしましたが、さすがに魅力的な方でした。

by 1220hagiwa | 2011-12-24 22:05 | <番外編 2011>
2011年 12月 20日

12月20日  萩原朔太郎 『月に吠える 萩原朔太郎詩集』 角川文庫 

 近代的な口語自由詩を確立したと評される代表作『月に吠える』を中心に、代表作を集めたものです。高校か中学で読んだ

 〈光る地面に竹が生え〉〈竹、竹、竹が生え〉

の清冽な言葉をはじめとする初期の作品の清々しさに、心を洗われるよう。リズム感も秀逸。とりわけ序文がなかなかに感動的で、ああっと共鳴。が、対照的に、結婚生活が破たんし、精神的にも追い込まれていった後半生に生まれた言葉からは、鋭い痛みが感じられ、いたたまれません。それほどに作品の質には初期と後期では著しい差が感じられますが、魂の純粋さは枯れることなく、底流しているような気がします。

 興味深い人物です。

by 1220hagiwa | 2011-12-20 23:30 | <番外編 2011>
2011年 12月 18日

12月18日  村瀬 学 『宮崎駿の「深み」へ』 平凡社新書

 来季に備え、通読しました。時系列的に作品を追っているので、内容は難しいながら、読みやすさを感じます。こんな見方ができるんだなぁと、勉強になります。正月休みは、じっくり作品群に向き合います。

by 1220hagiwa | 2011-12-18 21:30 | <番外編 2011>
2011年 12月 17日

12月17日  高橋秀実 『結論はまた来週』 角川書店

 『R25』はいつも最後のページから読み、あとの記事は捨てることもあります。で、真っ先に目を通す連載エッセイが書籍化されたもの。今週号も愉しませてもらっています。毎回、全部ではなく、一か所だけ、おっ、と思わせる箇所、鋭い突っ込みがあり、そこを読解問題やその候補にすることもあります。偉ぶらない、明快な内容と文体で、好感のもてる筆者です。

by 1220hagiwa | 2011-12-17 19:12 | <番外編 2011>
2011年 12月 13日

12月13日  片岡義男 『七月の水玉』 文芸春秋

 ひそやかで、淡いセクシーさ。6つの短編に、それが、時に遠慮気味に、ときに大胆にちりばめられています。粋です。ページの隙間から、香ってくるよう。

by 1220hagiwa | 2011-12-13 23:38 | <番外編 2011>