1月21日(水)  スティグマ

 傍から見ていると、その熱狂ぶりが異常にも見える盛り上がり。オバマ氏の大統領就任セレモニーのことです。熱しやすく醒めやすいお国柄、といっては軽々しいかもしれませんが、冷静な見方をしているイラクの人のほうが、よほど好印象でした。それは別としても、詳細はわかりませんが、専門家によると、オバマ氏の演説はよくできているらしいです。スピーチライターは27歳だそうですが、そういう人のいる国、すごいです。

 日本のメディアの伝え方にも、何がしかの意図が働いているのが透けて見えるよう。インタビュー相手も専ら黒人系でした。アメリカでの黒人の比率は、さほど高いと思わないのですが。ほかにも、朝日新聞は一貫して見出しで「アフリカ系」と表記し、本文中で「アフリカ系(黒人)」ないしは「黒人」と書いているようです。一方、読売は徹頭徹尾「黒人」。どちらが正しいかは決められないのでしょうが、興味深いところです。もし父親と母親の出自が逆だったとしても、やはり「黒人」なのでしょうか。そういえば、昨年のノーベル賞の受賞者が日本人なのかアメリカ人なのか、そんな国籍論争もありました。

 「スティグマ」という概念を、つい先日知りました。ごくごく簡単な定義では、「差別される存在」だといいます。広い概念だそうですが、今日の授業で扱った日本の方言もその範疇に含まれるます。しかし、例えば韓国では方言は少なからず抑圧されているように感じます。少なくとも、今日の学生の反応からすると、ですが。首都に人口の25%が集中している国ですから止むを得ないとしても、やはり淋しい気がします。言葉はその人の人格、生(ライフ)そのもの。オバマ氏の言葉も、ライターが書いたにせよ、オバマ氏そのもの。麻生さんにしても、然り。私も、然り。怖いものです、言葉は。
by 1220hagiwa | 2009-01-21 23:31 | 本 編 2009