8月7日  定延利之 『ささやく恋人、りきむレポーター』 岩波書店

 自称「通常の言語研究では、軽視・無視されがちな現象をことさらに研究する」方だそうですが、ここで取り上げられたフィラー、力み、空気のすすりといったトピックは、日本語母語話者には何の苦労もなくできるパフォーマンスで、学習者には極めて習得の困難な、また理解しがたいものの一つです。同時に、従来掘り下げられることの少なかったポイントでもあります。教室現場で扱うには、指導者の意識化が欠かせないでしょう。
 残念だったのは、少々回りくどい説明が散見されたこと。ですが逆に言えば、非常に丁寧な語り口ということ。著者の親切な姿勢が伝わってきて、好感がもてました。
 日本語教育現場への提言も適宜挿入されていて、なるほどと思います。
by 1220hagiwa | 2007-08-07 10:24 | <番外編 2007>