10月4日(木)  アート・リテラシー

 週末の広島行、往路にANAを利用。その日の午後は晴天でした。機内で小論に目を通していて、はっと気づいて窓から見下ろすと、あの形は伊勢湾では? 多数の河川が流れ込む名古屋の街並み、三角州がしっかり楽しめます。やがて右奥に現れたのは紀伊山地、手前には碁盤の目の京都。次いで淀川が貫く大阪、六甲山系に隠れるような狭い狭い神戸と続き、案外広範な岡山の市街地、あれは瀬戸大橋、隣はコンビナートの倉敷…といった具合。それらをはるか上空から、それも南側からではなく北側から見下ろせるなんて、なんと贅沢なことか。何度でも目にしたい絶景です。

 で、読んでいたというその小論は、アート・リテラシーという概念を扱っています。これ、とっても気になっています。アートに関する教室実践(校外も含む)をあれこれ試していますが、苦戦。中期的に何とか一つの形を作ろうと画策しているところです。アートと日本語教育を何とかうまくリンクできないものか、ただし、単なる鑑賞教育に終始するのではなく…と探りつつ迷いつつも楽しみながら(これが大事)、プチお悩み中。それでも、今度の日本語教育の学会で関連の発表があるようで、楽しみです。

 帰途の新幹線では、原爆を描いた読み物をずっと手に。というように、自殺、原爆、そしてフクシマと、重いトピックに続けざまに取り組んでいるここ最近。言い訳をすれば、目下、私の中でそういう季節を迎えているわけです。所詮ド素人なのですけれど、それなりに、たとえ牛のような歩みでも、乏しい想像力を用いながら何とか進めています。参加費、交通費、宿泊費、食費その他、どう計算しても赤字も赤字。それもふだん以上、例年以上。しかし、それに勝るとも劣らない学びの実感、精神的な充足感を伴う時間を重ねている。せめてそう信じて、ひたすら動き続けています。もちろん、周りから見ればただの阿呆にすぎません。

 とはいえ、私らしいと自負するのは、そんな中でも必ず遊びを入れていること。ときに走ったり、ときに絵を観たり。だからこんな無茶を続けられるのでしょう。

 というわけで、福島、再訪。前回よりもう少し丁寧に、私のできる範囲で、被災地を見てきます。少しでも学ばせてもらいます。

by 1220hagiwa | 2018-10-04 23:29 | 本 編 2018