9月29日(土)  14万人の広島

 いくら晴れ男でもこの強い台風には勝てず、遠征いや旅先の広島から予定変更、帰宅の途に。明日は新幹線が止まる見込みとのことで、親戚を訪ねたのち、急遽最終の一本前に乗り込みました。

 広島平和祈念資料館は、本館があいにく耐震工事中とかで東館のみの見学。それでも展示の仕方が以前とは違っていて、それなりの見応えがありました。ぐっと明るく、ゆとりのある印象です。とはいえ、「ケロイド人形」の展示はなし。そうした会場で相当に目立ったのが欧米系のツアー観光客。一方、中国・韓国といった東アジア系の方は(見回しましたが)彼らに比べると相対的に少なめのようでした。広島はスルー、来日目的は基本、買い物なのかもしれません。それはいいのですが、何だろう、悪いことではないですが、どこか違和感…じゃなくて、不全感というか、引っかかるものがあります。逆に、欧米の方はどういう思いで見ているのかと気になります。しっかり説明文を読んでいる若者もいましたし、夫婦連れであれこれ回っている姿も目にしました。だからなのか、中国語・韓国語による説明はありませんでした。一方、資料室が充実。私としては、本館の工事が終わったのち、たとえば来年あたりもう一度行く価値、意味があります。

 その北側、いつのまにか死没者追悼平和祈念館という建物ができていました。10年以上前だそうです。追悼に相応しい落ち着いた建物で、やはり資料室も備え、ゆっくり思いを巡らせながら過ごすことができます。圧倒されたのは、ひとめぐりするのに3時間かかるという、死没者の氏名と顔写真の投影。14万人とされる死没者には14万の生があったことを如実に、かつ強烈に物語ります。皆さんをひとくくりにはするまい。

 時間的な余裕さえあれば、語りを聴くなどしてもっと学べたはず。でも私なりに思いを抱き、持ち帰ることができ、授業にも少しは反映させられそうな気がします。やっぱり現地を訪ね、現物に触れるに勝るものはないようです。

by 1220hagiwa | 2018-09-29 23:38 | 本 編 2018