2月13日  金菱 清(ゼミナール)編 『呼び覚まされる 霊性の震災学』 新曜社

 東北学院大学のゼミ生の皆さんによる、被災された方への聞き書きに基づいた報告集です。いずれも貴重な記録。語りあるいは記憶という側面からも、死者への接し方、悼み方という側面からも興味深い内容です。

 被災地でしばしばタクシードライバーが出遭うという「幽霊現象」をはじめ、死者とともに生きる被災者の皆さんの強さ、心象を描き、震災からの復興には「霊性」に基づく死生観が求められているとします。

 皆さんの語り、思いには共感できる部分があります。ただ一点だけ、ゼミ生の文章を編集したためか、「ご遺体」「遺体」という表記が混在したり、こなれていない文章がずいぶん目についたりするのが惜しいです。でも、それを越えてなお意義深い本です。

 まもなく6年目。初読は昨年でした。再読に値すると思います。
by 1220hagiwa | 2017-02-13 23:09 | <番外編 2017>