1月3日  三代純平 編 『日本語教育としてのライフストーリー』 くろしお出版

 この冬、再読。私自身はライフストーリーの研究をしていませんし、今後も予定はありません。しかし、勤務校での語りのミニ研修シリーズや、昨年、一昨年と参加している実践を語る研究会、あるいは今度のヒューマンライブラリーといった一連の周辺の活動から、語ること、あるいは語られる(聴く)ことの多大な意義、重要性を痛感し続けています。

 日々の実践に課題、問題点を感じ取り、提起し、日本語教育の本質を問い続ける方にとって、この研究はそこに至る重要な道筋、方法論です。周辺部分に位置し、うろうろしている私ですが、そうした皆さんの思い、狙いに強く共感します。研究したからといっても成果がすぐには現れず、いや現れないことも多く、むろん数値化もできず、地道、地味な作業の積み重ね。けれど、私が常に口にするような「ライフ」、すなわち一人の人間の内実に焦点化し、じっと見つめ、深く掘り下げていくことのできる、ものすごく意義深い実践です。まさに人間を探究する研究。

 一つ一つは挙げませんが、理論、実践報告ともに印象深く、熱も魂もこもり、誠実さに満ちた文章が集った一冊です。
by 1220hagiwa | 2017-01-03 23:09 | <番外編 2017>