5月25日(水)  「しっかり」言うな

 テストを採点中。赤ペンを自在に振える神のような立場と錯覚せず、私なりに慎んでペーパーに向かいたいと思います。そして、自分の授業の未熟さに反省を忘れず。必要ならそれを学生に謝ることも厭わずにいたいものです。ちょっと残念ですけれど、事実、私の教え方が悪いのです。

 何も言っていないに等しい、日米首脳の会見。ある程度予想はされていましたが、それ以上に空虚で、どっちらけもいいところでした。まぁ、結局アベさんは「しっかりと」ばかりで実質的に何も言っていないでしょうし、沖縄のことは相当な他人事なのだとよくわかる上滑りな言葉の羅列でした。オバマさんのほうが言葉を紡ごうとしていて、まだマトモに思えました。確かに双方、難しいのでしょう。かといって、私は何もできることがないのです。ただ、少なくとも授業において、学生に各国の事情にも触れてもらいながら、基地にまつわるあれこれを一緒に考えてみる。そして自国を振り返る。そんな機会を、ちょっとがんばって工夫してみれば設定できると思います。

 どうしてアベさんの言葉は心に届かないのかな。彼なりに一生懸命のようです。でも、妙な滑らかさが軽さをもたらします。ほとんど伝わりません。紋切り型の言葉を繰り返すからでしょうし、1分間に1回は口の端に上る「しっかり」に私が飽き飽きしているからもあります。そして、よほど自信がない限り自分の言葉にはなっていない。原稿の読み上げは別としても、基本的に抑揚の少ないハイトーンでのっぺりしていて、テンポが同じ語りだからでしょうか。

 でも、私も時に、そうなってしまうことがあります。自省します。 
by 1220hagiwa | 2016-05-25 23:52 | 本 編 2016