3月4日(土)  枠を無視する

 特別支援学校の学生さんたちのアート作品展@青山。知的障害、視覚障害、聴覚障害、あるいは肢体不自由。そういった枠は関係ありません。枠というのは、だれか(=マジョリティ)が勝手に作ったもの。だから私はそうした情報を無視して観ました。純粋に驚かされ、刺激される作品、魅力的で感心させられる作品がいくつもありました。中には、目下個展を絶賛開催中の草間彌生さんに通じる作品もあります。

 たとえば私たち一般が、何かの際に表現できない/していない(ように見える)とすれば、表現の場を持っていないからというより、持とうとしないからかもしれません。教師の端くれの立場からいうと、言語表現の場を学習者に提供しきれていないことは、決定的に私の力不足に由来するのではないかと思えます。今の私の学生に向け、せっかく授業という場を持つのだから、もっと工夫せねばと今頃になって悔やみます。表現してもらうに際してできることがいくらでもあるはずなのに、結果的に私は力を抜いていると気づきます。

 ただ、日々授業に追われているとそうそう余裕はもてないもの。それでも、この仕事を選んだ以上、言い訳はきかないはず。要は甘え。厳しさが足りないのでしょう。

 ルパング島から小野田さんが帰国したニュースを、小学生の時に目にした覚えがあります。帰国にあたっての日本とフィリピン政府のやりとり、潜伏期間に小野田さん(たち)がとった地元の方への行動すなわち襲撃の繰り返しという事実を知ると、戦争のもたらす理不尽さ、禍々しさ、悲しみに立ち尽くさざるをえません。同時に、彼らを一概に責めることはできません。責めるべきは、戦争そのもの。それは、やがて私たち自身に返ってきます。
by 1220hagiwa | 2017-03-04 21:02 | 本 編 2017